障害福祉の開業の通説を確かめる|制度・経営・物件の10記事

開業情報には、「公費だから安定している」「資格がなくても始められる」「総量規制で開業できなくなる」といった説明がよく並びます。どれも、一部分を見れば根拠があります。ただ、その一部分だけで、事業全体を「始めやすい」「安定している」「難しくなった」と評価することはできません。この棚では、こうした説明を国の統計・法令・自治体の資料で一つずつ確かめ、開業前に何を確かめればよいかまで整理しています。

記事一覧

  1. 障害福祉事業は「安定収益」なのか
  2. 黒字の事業所と赤字の事業所は、何が違うのか
  3. 新規開業だと報酬が下がるのか
  4. 就労継続支援B型は、いまも参入しやすいのか
  5. 放課後等デイサービスは、いまも開業しやすいのか
  6. 就労継続支援A型は、制度改正で難しくなったのか
  7. 障害者グループホームは、いまも参入しやすいのか
  8. 「総量規制で開業できなくなる」は本当か
  9. 障害福祉の開業は、社会福祉法人のほうが有利なのか
  10. 「いい物件が見つかれば、あとは契約するだけ」は本当か

4つのサービスの答え合わせ

就労継続支援B型

  • よく見る説明:雇用契約を結ばないので、A型より始めやすい
  • 確かめた結果:雇用契約がないのは制度のとおり。需要も続いている。ただ報酬の評価方法が見直され、新規指定では生産活動の取引先や収入の根拠まで確認される
  • 一言でいえば:問われるのは、工賃を払える生産活動を組めるか

詳しくは記事で確かめる

放課後等デイサービス

  • よく見る説明:資格不要・未経験でも開業できる・給付で安定
  • 確かめた結果:代表者に資格は要らず、収入の93.1%は給付費等、平均の収支差率は9.1%。ただ赤字の事業所は45.4%、支援プログラムの作成・公表が運営基準に
  • 一言でいえば:入口と収入の出どころは正しい。成り立ちやすさまでは意味しない

詳しくは記事で確かめる

就労継続支援A型

  • よく見る説明:報酬改定で経営が難しくなった
  • 確かめた結果:2024年度改定で、生産活動収支に関する報酬の評価が強化された。ただ「雇用して賃金を払う」ことは当初からの趣旨
  • 一言でいえば:制度の趣旨と仕組みのずれが埋められてきた流れ(筆者の読み方)

詳しくは記事で確かめる

障害者グループホーム

  • よく見る説明:需要がある・小さく始められる・継続収入を見込める
  • 確かめた結果:利用者は20万人超、平均は黒字。ただ4割前後は赤字で、小規模な定員区分には平均でも赤字の区分がある。2027年4月から総量規制の対象
  • 一言でいえば:需要の増加と、個々の事業所の採算は別。地域・規模・支援体制の確認が必要

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その説明は、何について語っているのか

「収入の大半が給付費」は収入の出どころを語っていますが、その事業所が黒字かどうかは語っていません。平均の収支差率は、赤字の事業所がどれだけあるかを語っていません。その説明は何について語っていて、何については語っていないのか。それを一次資料で確かめるのが、この棚の役割です。

記事の出典と更新について

各記事の数字は、厚生労働省・こども家庭庁の統計と審議会資料、法令、自治体の公表資料で確かめています。案の段階のものは「案」と書き分けています。制度や数字が変わったときは、各記事の更新日とあわせて書き直します。横浜市の計画と窓口については、「横浜で開業する」の棚で扱っています。

開業を考えている方へ

考えているサービスと地域、物件や人の見通しを伺い、どこから確かめるかを一緒に整理します。

更新日:2026年10月16日 執筆:行政書士 大塚栄一