横浜市で児発・放デイの物件は、何で確かめるのか。市の条件と物件相談シートを読み解く

横浜市は、2027年2月から5月までに開所を考えている事業者を対象とする第3回指定前説明会について、申込期限を2026年12月1日17時と案内しています。横浜市では、この説明会への参加が指定の手続きの入口です。2027年春の開所を考えているなら、物件の条件を改めて確かめておきたい時期です。(注1)

候補物件を見つけたとき、確かめる資料は一つではありません。国の省令と市の条例が定める設備の基準、市が公表している物件の条件、そして市の「物件相談シート」です。3つは中身も性格も違います。どの資料で何がわかり、何がわからないのかを整理します。

※この記事は、2026年10月17日時点で公表されている国と横浜市の資料をもとに、当事務所が独自に整理したものです。物件相談シートへの記入や市への問い合わせは、指定を保証するものではありません。実際に物件を契約するときは、横浜市の最新の案内を確認し、担当窓口に問い合わせてください。

この記事の要点

  • 省令と市の条例には、一般の児発・放デイの発達支援室について面積の数値基準がない
  • 横浜市は、地下・窓なし・5階以上・共用トイレ・旧耐震などの物件は指定を行わない場合があると公表している
  • 物件相談シートには、二方向避難・市街化調整区域の確認と、発達支援室「1人3㎡以上」の図面記入がある
  • シートの項目を満たしても、建築基準法・消防法への適合を確かめたことにはならない

省令と条例には、発達支援室の面積の数値がない

国の省令は、児童発達支援事業所(児童発達支援センターを除く)と放課後等デイサービス事業所に、「発達支援室のほか、提供に必要な設備及び備品等」を設けるよう定めています(注2)。横浜市の条例も同じ内容です(注3)。

どちらも、一般の事業所の発達支援室について、広さを数値で定めていません。障害児1人当たり2.47㎡以上という数値があるのは、児童発達支援センターの基準です(注2)(注3)。設備の基準だけを見ても、候補物件で足りるかどうかは判断しにくいということです。そこで意味を持つのが、市が公表している条件と物件相談シートです。

横浜市が「指定を行わない場合がある」とする物件

横浜市は、障害児通所支援について、次のような物件を「設置が望ましくないと考えられるもの」として挙げ、指定を行わない場合があるとしています(注1)。

  • 地下に設置する場合
  • 窓がない物件
  • 5階以上の高層階
  • トイレが事業所の外にある場合(共用トイレ)
  • 風俗営業から半径200メートル以内
  • 昭和56年6月以前の旧耐震基準の物件

あわせて、トイレを男女別にすること、静養室と面談室(スペース)を確保すること、市内の他の事業所と似た名称にしないこと、鍵付きの書庫を置くことにも、特に注意を求めています(注1)。

静養室は、国の省令や市の条例では児童発達支援センターに求められる設備で、一般の事業所の設備の基準には書かれていません(注2)(注3)。それでも市は、確保に注意するよう求めています。

耐震基準の年代、階数、地下かどうか、窓の有無などは、物件の募集情報や図面の段階で確かめられます。内見の前に、候補をかなり絞り込めます。

物件相談シートで確かめること

横浜市は、候補物件が要件を満たしているかを事前に確認したい場合に使う「物件相談シート」を用意しています(注1)(注4)。シート(R8年2月版)の「横浜市からの指示事項」には、新耐震基準、地下・高層階・窓なしでないこと、専用トイレ、風俗営業から200メートル以内でないことに加えて、市のページの一覧にはない「二方向避難が可能である」「市街化調整区域ではない」のチェック欄があります(注4)。

項目指定基準(省令・条例)市の公表条件物件相談シート
発達支援室の面積数値なし(センターは1人2.47㎡以上)—図面に1人3㎡以上で記入
耐震(昭和56年6月以降)—ありあり
地下・5階以上・窓なし—ありあり
専用トイレ—あり(男女別にも注意)あり
風俗営業から200m—ありあり
二方向避難——あり(図面に経路)
市街化調整区域——あり
静養室・面談室センターのみ(静養室)注意を求める図面に位置を記入

※国と横浜市の公表資料をもとに当事務所が整理したもので、市の公式の資料ではありません。「—」はその資料に記載がないことを示すもので、指定基準の欄の「—」は、建築基準法・消防法上の義務がないことを意味しません。最新の内容は各資料で確認してください。(注1)〜(注4)

図面には、発達支援室を「1人3㎡以上」で書き込む

シートは、レイアウト案を書いた図面と一緒に送ります。図面には、発達支援室の面積(1人3㎡以上で、定員の人数分以上。10人定員なら30㎡以上という例が示されている)、事務室・面接室(スペース)・静養室(スペース)の位置、窓の位置、二方向避難の経路を書き込むよう指示されています(注4)。

「1人3㎡以上」は、物件相談シートに書かれた数値です。省令と条例には、一般の事業所の発達支援室について面積の数値がありません。この数値が指定の審査でどう扱われるかは、シートからは読み取れません。少なくとも、市に物件を相談するときに、この広さを前提に図面を書くことが求められている、ということは言えます。

相談の方法と、回答までの期間

横浜市の案内には、電話で予約して来庁する相談と、物件相談シートを使った問い合わせの両方が書かれています(注1)。一方、シートの注意事項には、個別相談より前の対面での物件相談は原則として行っていないとあります(注4)。具体的な相談方法は、契約の前に担当課(こども青少年局障害児福祉保健課)に確かめてください。

シートで相談する場合、回答には1週間程度かかり、「何日までに回答がほしい」という要望には応じられないとされています(注4)。契約を急ぐ前に、この期間を見込んでおく必要があります。

シートだけでは、建築基準法と消防法への適合は確かめられない

物件相談シートには、二方向避難のように避難の安全に関わる項目もあります。ただ、シートの項目を満たしていても、建築基準法や消防法に適合していることが確認されたことにはなりません。横浜市の事前調査票(令和8年4月版)でも、「消防署への相談」の状況を、物件の状況とは別の項目として聞いています(注5)。用途の変更、確認申請が必要になる200㎡の線、消防法上の区分と必要な設備は、「あわせて読む」の物件の記事で整理しています。

契約の前に確かめること

耐震、階数、窓、トイレ、周辺の環境、市街化調整区域かどうかは、物件情報の段階で絞り込めます。候補が見つかったら、図面をつくって物件相談シートで市に相談し、建築基準法と消防法への適合も、建築士や所轄の消防署と確かめていく。市への相談と建築・消防の確認は並行して進められます。契約したあとで「この物件では指定が難しい」とわかるリスクを減らすことにつながります。

  • 最新の物件相談シートの様式(障害福祉情報サービスかながわ)
  • 相談の方法(担当課)
  • 市のページの最終更新日と、物件の条件に変更がないか
  • 建築士・所轄の消防署への確認(用途変更、消防用設備)

横浜市で児発・放デイの開設を検討している方へ

候補物件が市の条件と物件相談シートの項目に合うか、説明会と個別相談までの段取りとあわせて一緒に整理します。

更新日:2026年10月23日 執筆:行政書士 大塚栄一