磯野家の家族関係を例に、相続のルールを考えるシリーズです。作品の設定を説明する記事ではなく、公式との関係もありません。
磯野家には、七人が住んでいます。
| 人 | 波平さんから見た続柄 |
|---|---|
| フネさん | 妻 |
| サザエさん | 子(長女。姓はフグ田) |
| カツオさん | 子(長男) |
| ワカメさん | 子(次女) |
| マスオさん | サザエさんの夫 |
| タラちゃん | 孫(サザエさんの子) |

もし波平さんが亡くなったとしたら、この七人のうち、相続人になるのは何人でしょうか。
答えは四人です。
この記事のポイント
- 配偶者は常に相続人。子は第1順位
- 姓や同居ではなく、法律上の関係で決まる
- 子が先に亡くなっていれば、その子(孫)が代わって相続人になる。子の配偶者は入らない
基本のルール
- 配偶者は常に相続人になる(民法890条)
- 血族には順位がある。第1順位=子、第2順位=直系尊属(父母・祖父母など)、第3順位=兄弟姉妹(民法887条・889条)
- 先の順位の人がいれば、後の順位の人は相続人にならない
- 子が先に亡くなっている場合などは、その子が代わって相続人になる(代襲相続。民法887条2項)
第1問 四人は誰でしょうか
フネさん、サザエさん、カツオさん、ワカメさんです。
配偶者のフネさんは常に相続人。第1順位の子が三人いるので、合わせて四人です。
年齢は関係ありません。カツオさんやワカメさんのような子どもでも相続人です。姓も関係ありません。フグ田姓のサザエさんも、波平さんの子です。

第2問 マスオさんは、なぜ入らないのでしょうか
マスオさんは、波平さんの配偶者でも、子でも、父母でも、兄弟姉妹でもありません。相続人になる続柄に当たらないのです。
サザエさんとマスオさんは、二人ともフグ田姓で、二人とも磯野家で暮らしています。それでも、サザエさんは相続人になり、マスオさんはなりません。違いは、「子」か「子の夫」かです。
結婚しただけで、配偶者の親の子になるわけではありません。法律上の親子になるには、養子縁組が必要です(このシリーズの最終回で扱います)。

第3問 タラちゃんは、入らないのでしょうか
今の条件では入りません。サザエさん自身が相続人になるので、タラちゃんが代わりに入る場面ではないからです。
カツオさんやワカメさんがいるからでも、波平さんとの関係が遠いからでもありません。

第4問 サザエさんが先に亡くなっていたら
波平さんより先にサザエさんが亡くなっていた場合、代わりに相続人になるのはタラちゃんです。これを代襲相続といいます。
相続人は、フネさん、タラちゃん、カツオさん、ワカメさんの四人になります。家族関係は同じでも、「誰が先に亡くなっているか」で顔ぶれが変わります。

第5問 そのとき、マスオさんはどうなるでしょうか
やはり入りません。サザエさんに代わって相続人になるのは、その子のタラちゃんです。夫のマスオさんではありません。

ここまでで分かること
配偶者を置き、次に子を置く。子が先に亡くなっていれば、その下を見る。多くのご家庭は、ここまでで相続人が決まります。
では、子も、その代わりになる人もいなかったら。そのとき、家系図の線は別の方向へ伸びていきます。続きは後編で。
出典
- 民法887条、889条、890条
- サザエさん公式ホームページ「キャラクター紹介」(家族関係の確認に使用)
更新日:2026年10月15日 執筆:行政書士 大塚栄一

