磯野家の家族関係を例に、相続のルールを考えるシリーズです。作品の設定を説明する記事ではなく、公式との関係もありません。
磯野家は、波平さんとフネさん、子のサザエさん・カツオさん・ワカメさん、サザエさんの夫のマスオさん、孫のタラちゃんの七人家族です。今回の仮定は、波平さんが亡くなり、遺産分割の話し合いが終わらないうちに、サザエさんも亡くなった、です。
前編では、マスオさんとタラちゃんは波平さんの相続人になりませんでした。亡くなる順番が変わると、この二人はどうなるでしょうか。
この記事のポイント
- 波平さんのあとにサザエさんが亡くなっても、代襲相続は起きない
- サザエさんが相続人として持っていたものを、マスオさんとタラちゃんが引き継ぐ
- そのため二人が、波平さんの遺産分割の話し合いに加わる(数次相続)
第1問 タラちゃんが代わりに相続人になるのでしょうか
なりません。代襲が起きるのは、子が波平さんより先に亡くなっているときなどです。
今回は順番が逆です。波平さんが亡くなったとき、サザエさんは生きていて、その時点ですでに相続人になっています。
第2問 サザエさんが相続人として持っていたものは、どうなるのでしょうか
サザエさんが亡くなったことで、サザエさん自身の相続が始まります。波平さんの相続とは別の、もう一つの相続です。
サザエさんを中心に家系図を見ると、マスオさんは夫、タラちゃんは子です。二人がサザエさんの相続人として、サザエさんが波平さんの相続人として持っていたものも引き継ぎます(民法896条)。
第3問 波平さんの遺産分割には、誰が加わるのでしょうか
フネさん、カツオさん、ワカメさんに加えて、マスオさんとタラちゃんです。
マスオさんが波平さんの相続人になったわけではありません。サザエさんの相続人として加わるのです。この状態を、実務では「数次相続」と呼びます。
| サザエさんに起きたこと | タラちゃん | マスオさん |
|---|---|---|
| 波平さんより先に亡くなった | 代襲相続人として加わる | 加わらない |
| 相続放棄をした | 加わらない | 加わらない |
| 波平さんのあと、分割前に亡くなった | サザエさんの相続人として加わる | サザエさんの相続人として加わる |

遺産分割が終わっていたら
サザエさんが亡くなる前に波平さんの遺産分割が終わっていれば、マスオさんとタラちゃんがその話し合いに加わる場面はありません。サザエさんが分割で取得した財産について、サザエさんの相続が始まるだけです。
ここまでで分かること
同じ家系図でも、亡くなる順番が一つ変わるだけで、話し合いの顔ぶれまで変わります。相続が重なると、手続きはその分複雑になります。長く放置された相続ほど、数次相続が起きやすくなります。
相続手続きについて
相続が重なっている場合も、戸籍をたどって話し合いに加わる人を確定し、遺産分割協議書の作成までお手伝いします。
更新日:2026年10月15日 執筆:行政書士 大塚栄一

