親が亡くなって、相続放棄を考えている。では、放棄すればお墓や仏壇のことも含めて、まとめて手放せるのでしょうか。
結論から書くと、そうではありません。お墓や仏壇は、そもそも相続財産ではないからです。
この記事のポイント
- 相続放棄の対象は、預金・不動産・借金などの相続財産
- お墓や仏壇は相続財産ではなく、別のルールで引き継がれる(民法897条)
- 放棄した人が、お墓を引き継ぐこともありうる。放棄の申述は、相続が始まったことを知った時から原則3か月以内
お墓や仏壇は、相続財産ではない
相続放棄をすると、その相続については初めから相続人ではなかったものとみなされます。預金や不動産を受け取らない代わりに、借金も引き継ぎません。
一方、お墓や仏壇など祖先の祭祀に関するものは、通常の相続財産には含まれません。
「放棄したのに、お墓だけ残ってしまった」のではありません。放棄の対象に、最初からお墓や仏壇は入っていないのです。
お墓や仏壇には、別の引き継ぎ方がある
民法は、お墓や仏壇を引き継ぐ人を次の順で決めています(民法897条)。
- 亡くなった人が指定していれば、その人
- 指定がなければ、慣習による
- 慣習が明らかでなければ、家庭裁判所が決める
「相続人だからお墓を引き継ぐ」「放棄したからお墓も引き継がない」という関係にはなっていません。そのため、財産は放棄したけれど、お墓は引き継ぐ、ということもありえます。
自分の家では、誰が引き継ぐのか
制度だけを見ると、答えは単純です。けれど実際の家族では、「誰がお墓を引き継ぐか」まで決まっているとは限りません。
財産の話をするときに、お墓や仏壇のことも少しだけ隣に置いて考えてみる。それだけで、まだ何も決まっていなかったことに気づくかもしれません。お墓を引き継ぐ人は、遺言で指定しておくこともできます。
※相続放棄は、自分のために相続が始まったことを知った時から原則3か月以内に、家庭裁判所へ申述します(民法915条・938条)。手続きの代理は弁護士、裁判所に出す書類の作成は司法書士の業務です。
更新日:2026年10月15日 執筆:行政書士 大塚栄一

