磯野家の家族関係を例に、相続のルールを考えるシリーズです。作品の設定を説明する記事ではなく、公式との関係もありません。
今回の仮定は一つだけです。波平さんの相続で、サザエさんが相続放棄をした。
前編では、サザエさんが先に亡くなっていればタラちゃんが代わりに相続人になる、と見ました。では、相続放棄をした場合はどうでしょうか。
この記事のポイント
- 相続放棄をすると、初めから相続人でなかったものとみなされる(民法939条)
- 放棄は代襲相続の原因に入っていない。子は代わりに相続人にならない
- 子が全員放棄すると、孫ではなく、次の順位(父母、兄弟姉妹)へ移る
- 話し合いで「いらない」と言うだけでは、法律上の放棄にはならない
第1問 タラちゃんは相続人になるでしょうか
なりません。
サザエさんは放棄したので、波平さんの相続人ではありません。そして、その子のタラちゃんも、代わりに相続人にはなりません。

第2問 先に亡くなっていた場合と、何が違うのでしょうか
| サザエさんの状態 | タラちゃん | 理由 |
|---|---|---|
| 波平さんより先に亡くなっていた | 代わりに相続人になる | 「相続の開始以前に死亡」は代襲の原因(民法887条2項) |
| 相続放棄をした | 相続人にならない | 放棄は代襲の原因に入っていない |

代襲の原因として挙げられているのは、先に亡くなっていた場合と、相続欠格・廃除の場合です。家系図の形は同じでも、結果は逆になります。
第3問 では、波平さんの相続人は誰になるのでしょうか
フネさん、カツオさん、ワカメさんの三人です。

第4問 子が全員放棄したら
サザエさん、カツオさん、ワカメさんが全員放棄しても、孫の世代が代わりに相続人になるわけではありません。
第1順位がいなくなり、第2順位の父母などへ。そこにもいなければ、第3順位の兄弟姉妹へ移ります。放棄した人の子へ下がるのではなく、次の順位へ進むのです。
「借金があるから子全員で放棄した」という場合、次の順位の親族に相続人の立場が移ることになります。
ここまでで分かること
その人が相続人にならない理由を確かめることが大切です。先に亡くなっているのか、相続放棄をしたのか。それで、その子が代わりに相続人になるかどうかが変わります。
※相続放棄は、自分のために相続が始まったことを知った時から原則3か月以内に、家庭裁判所へ申述します(民法915条・938条)。手続きの代理は弁護士、裁判所に出す書類の作成は司法書士の業務です。
更新日:2026年10月15日 執筆:行政書士 大塚栄一

