横浜市で放課後等デイサービスを開業する前に。利用が伸びるいま、問われているのは支援の中身

放課後等デイサービス(以下、放デイ)は、障害のある小学生から高校生が、放課後や学校の休みの日に通う場所です。

横浜市の障害者プラン素案では、受給者数が 12,771人から17,500人へ。およそ4割の増加 です。

この増え方は、子どもの数では説明できません。

市の推計人口では、6〜17歳は2021年から2026年に約4.9%減っています。

子どもは減っているのに、利用は伸びてきた。そして、これからも伸びると見込まれています。

ただ、国と市の資料を読むと、数だけでは見えない論点があります。支援の中身です。

この記事のポイント

  • 横浜市の放デイは、利用が約4割増える見込み
  • 国は、「どんな発達支援をするのか」を事業所ごとに示す方向へ制度を変えた
  • 横浜市も、事業所のあいだの「支援の質の開き」を課題にしている
  • 開業前に決めるのは、物件より先に「どの子の、どんな放課後を支えるか」

国は、放デイの中身を問い直した

放デイは、平成24年にできた比較的新しいサービスです。

こども家庭庁の検討会の報告書(令和5年3月)は、その後約10年で事業所も利用者も大きく増え、支援の質の確保が課題になったと振り返っています。

報告書が取り上げたのは、支援の中身です。

  • ピアノや絵画だけを提供する支援は、公費で負担する放デイとしてはふさわしくない
  • 学習支援や習い事のような活動も、個別支援計画とのつながりを示して提供する

一方で、保護者の就労などによる「預かり」のニーズにも応えることが重要だとしています。

預かりを否定しているのではありません。預かりと発達支援を混同しないこと を求めていると読めます。

令和6年度から、仕組みが変わった

この報告書を受けて、令和6年度の報酬改定で放デイの仕組みが変わりました。

  • 「健康・生活」など5領域をすべて含む支援が基本になった
  • 5領域とのつながりを示した「支援プログラム」の作成と公表が必要になった
  • 公表していない事業所は、令和7年4月から報酬が減算
  • 基本報酬に、支援時間の長さによる区分が入った

同じ年の7月には、国の放課後等デイサービスガイドラインも全面的に改訂されています。

安心して過ごせる場であり、同時に、そこで何をしているのかを説明できる場であること。それが求められています。

横浜市の資料にも、同じ問題意識がある

横浜市は独自の「横浜市版 放課後等デイサービスガイドライン」をつくり、令和7年6月に第3版を出しました。

そこには、同じ市内の事業所でも支援の質に開きが出ていることが書かれています。放デイは「単なる預かり事業ではない」とも明記しています。

素案の計画値(139ページ)には、放デイ全体とは別に、主に重症心身障害児を支援する放デイの行があります。

  • 事業所数:35か所 → 36か所
  • 受給者数:384人 → 400人
  • こうした事業所がある区の割合:89.0% → 100%(18区すべて)

市が放デイ向けに設けている整備の補助も、主に重症心身障害児を対象とする事業所に向けたものです。

また素案91ページは、総量規制の対象になりうるサービスに放デイも挙げています。ただし、放デイの新設を制限すると読める記述ではありません。

利用の増加を見込みながら、支援の質と、受け入れ先が限られる子どもへの対応を重く見ている。単に事業所が増えればよい、という計画ではありません。

「定員10人なら始めやすい」ではない

市の一覧(2026年4月)では、市内の放デイは 581事業所。定員の記載がある事業所の9割近くが、定員10人です。

形としては始めやすそうに見えます。

けれども同じ形の事業所はすでに数多くあり、国も市も支援の中身を問うようになっています。

開業前に設計することを並べると、こうなります。

  • どの子どもを受け入れるのか。年齢層、障害の特性、重症心身障害・医療的ケア・強度行動障害に対応するか
  • 5領域をどう組み立て、支援プログラムとしてどう公表するか
  • 平日の放課後と学校の休みの日で、時間をどう使うか
  • 預かりのニーズと発達支援の時間を、どう分け、どう説明するか
  • 児童発達支援管理責任者と職員を、どう確保し、育てるか
  • 学校、相談支援事業所、地域療育センターとどうつながるか

その先には、18歳以降の生活もあります。素案は、学校を卒業すると放デイが使えなくなり、夕方を安心して過ごせる場の充実が求められていると書いています。

放デイは「どの子の、どんな放課後か」から決まる

市の個別相談では、開設場所や人材確保の見通しを確認されます。

市は、地下、窓のない物件、5階以上、旧耐震基準の建物などを「設置が望ましくない」物件として示しています。

それでも、考える順番は物件からではありません。

どの子を受け入れるか → 必要な支援 → 支援プログラム・時間・送迎 → 職員と空間

たとえば重症心身障害児を受け入れるなら、看護職員の配置、送迎の方法、医療機関との連携が、物件を決める前の検討事項になります。

発達障害のある中高生が中心なら、学校との情報共有や、落ち着いて過ごせる空間が先に来ます。

支援プログラムは、その検討の結果を言葉にしたものです。

「横浜で放デイは足りているか」ではなく、

「自分はどの子の、どんな放課後を支えるのか。それを支援プログラムとして説明できるか」。

放デイの開業を考えるなら、この問いから始めたいところです。

横浜市で放デイの開設を検討している方へ

受け入れる子どもと支援の中身、人員と物件の条件を、説明会・個別相談の前に一緒に整理します。

出典

更新日:2026年10月14日 執筆:行政書士 大塚栄一