B型の職員配置は、開業後いつ見直すのか。「平均利用者数」の数え方が6か月・1年で変わる

就労継続支援B型では、職業指導員と生活支援員の数を、利用者数から決めます。その計算に使う「利用者数」の数え方は、開業から6か月、1年とたつにつれて変わります。

開業直後の6か月は、定員の90%を利用者数とみなします。この記事では、その先を扱います。6か月を過ぎたら何で数えるのか、年度が変わる4月に何が起きるのかを、10月に開業した例で確かめます。

※この記事は、2026年10月23日時点の国の通知と横浜市の公表資料をもとに、当事務所が独自に整理したものです。指定権者の運用によって扱いが異なる場合があります。実際の人員配置や届出は、指定権者の最新の案内を確認し、担当窓口に問い合わせてください。

この記事は「B型の開業準備」4本のうち4本目です。前:生産活動の決め方|B型の入口に戻る

この記事の要点

  • B型の職業指導員・生活支援員の数は、前年度の平均利用者数から決まる
  • 開業した事業所は、6か月未満は定員の90%、6か月以上は直近6か月、1年以上は直近1年間の実績で数える
  • 10月に開業すると、通常の「前年度の平均値」に移るまで1年半かかる
  • 配置を満たすかは月の勤務時間で確かめられるが、常勤換算の端数の扱いで結果が変わることがある

B型の職員の数は、前年度の「平均利用者数」から決まる

B型の事業所には、職業指導員と生活支援員を置きます。国の基準は、この二つの職種の総数を、常勤換算で「利用者の数を10で除した数以上」としています(注1)。報酬のサービス費(Ⅰ)は、工賃向上計画を作成したうえで、利用者の数を6で除した数以上を置くことが条件です(注2)。いわゆる6:1の配置です。

ここで数えるのは職業指導員と生活支援員の合計で、サービス管理責任者と管理者は入りません。合計とは別に、職業指導員と生活支援員をそれぞれ1人以上置き、いずれか1人以上を常勤とする必要があります(注1)。

計算に使う「利用者の数」は、前年度の平均値です(注1)。前年度(4月〜翌年3月)の延べ利用者数を開所日数で割り、小数点第2位以下を切り上げます(注3)(注4)。

開業した事業所は、6か月・1年で数え方が変わる

新しく開いた事業所には、前年度の実績がありません。国の通知は、前年度の実績が1年未満の場合、6か月未満は便宜上「利用定員の90%」、6か月以上1年未満は「直近の6か月の延べ利用者数÷その開所日数」、1年以上は「直近1年間の延べ利用者数÷その開所日数」で数えるとしています(注3)(注4)。2026年10月1日に開所した場合に当てはめると、次のようになります。

期間開所からの期間計算に使う利用者数
2026年10月〜2027年3月6か月未満利用定員の90%
2027年4月〜9月6か月以上1年未満直近6か月の延べ利用者数÷開所日数
2027年10月〜2028年3月1年以上(前年度の実績は1年未満)直近1年間の延べ利用者数÷開所日数
2028年4月〜前年度に1年分の実績前年度の平均値

※国の通知(解釈通知 第二の2の(5)、留意事項通知 第二の1の(5))をもとに当事務所が整理したものです。

10月開業では、6か月の節目が年度の切り替えと重なります。ただ、4月に数え方が変わるのは、年度が変わったからではなく、開所から6か月がたったからです。2027年度にとっての前年度(2026年度)の実績は6か月分しかないので、2027年度も通常の「前年度の平均値」は使えません。通常の数え方になるのは2028年4月で、開業から1年半かかります。4月に開業した場合は、1年で移ります。

「直近の6月」「直近1年間」を毎月計算し直すかどうかは、国の通知に書かれていません。仙台市、和歌山市、松山市の事業者向け資料は、いずれも対象期間を1か月ずつずらして毎月計算する例を示しています(注5)。3市の資料を見るかぎり、毎月計算し直す扱いが多いと読めます。横浜市の公表資料には、この点の記載は見当たりませんでした。

定員20人・6:1の試算では、必要な配置が実績に合わせて動く

横浜市の集団指導の資料は、配置を満たしているかを月の勤務時間で確かめる方法を示しています。平均利用者数を配置の割合(6:1なら6)で割って必要な職員数を出し、常勤の月の勤務時間を掛けます。職業指導員と生活支援員の実際の月の総勤務時間がそれを上回っていれば満たします(注6)。

施設外就労を行わない定員20人のB型で、サービス費(Ⅰ)(6:1)の場合を、利用者の集まりが計画より遅い例で試算します。

時点利用者数必要な職員数(÷6)必要な月の総勤務時間
2026年10月18.0人(定員20人×90%)3.0人480時間以上
2027年4月8.3人(延べ1,010人÷122日)1.38…人221.33…時間以上
2027年10月11.2人(延べ2,730人÷244日)1.86…人298.66…時間以上
2028年4月13.0人(延べ3,180人÷245日)2.16…人346.66…時間以上

※常勤の勤務すべき時間を月160時間とした試算です。延べ利用者数と開所日数は説明のための仮定です。2027年4月・10月の数字はその月に計算した場合で、毎月計算し直す扱いでは翌月以降の数字が変わります。施設外就労をする場合は、本体と施設外で配置を分けて数えるため、この計算は使えません。

比べる勤務時間は、職業指導員・生活支援員として算入できる時間に限られます。超過勤務の時間は含めず、1人当たりの算入時間には常勤の勤務すべき時間という上限があります(注6)(注7)。

この例で開業時の3.0人の配置を続けるなら、平均利用者数18人までは6:1を満たします。配置を見直す場合は、どの時点で条件に届かなくなるかを前もって見積もっておくと、採用の時期や人件費を考える手がかりになります。

常勤換算の端数で、結果が変わることがある

今回確認した国の通知には、端数処理の明記を見つけられませんでしたが、自治体の資料には、常勤換算を小数点第2位以下切り捨てとするものがあります(注8)(注9)。

2027年4月時点の例では、必要な職員数は1.38…人です。160時間と62時間の2人なら、合計222時間÷160時間=1.387…で、切り捨てると1.3人となり届きません。1人ごとに切り捨てる扱いでは、合計の時間が同じでも人の分け方で結果が変わります。160時間と64時間の2人(計224時間)なら1.0人と0.4人で1.4人となり満たしますが、同じ224時間でも160時間・40時間・24時間の3人なら、1.0人・0.2人・0.1人で1.3人となり届きません。

横浜市でも、集団指導の資料は総時間で比べる方法を(注6)、運営指導のセルフチェックシートは切り捨てた常勤換算を示しています(注8)。どちらで判定するか、切り捨てを1人ごとに行うかは、指定権者に確かめておくと安心です。

配置が区分の条件を下回ったときは、届出の時期が決まっている

配置の計算に使うのは、一定の期間をならした平均利用者数で、ある月に利用者が急に増えても、その月の人数で必要な配置が決まるわけではありません。ただ、開業1〜2年目は計算に使う期間が動くので、利用者が増え続ければ必要な配置も少しずつ上がります。

6:1の条件に届かなくなった場合、国の通知は速やかな届出を求めており、算定できなくなるのは事実が発生した日からです(注10)。横浜市の資料も、下位の区分への変更は、16日以降の届出であっても算定されなくなった月に遡って適用するとしています(注11)。職員を増やすか、7.5:1のサービス費(Ⅱ)などの区分で届け出ることになると考えられます。

逆に、職員を増やして上の区分に移る場合は、毎月15日までの届出なら翌月から、16日以降なら翌々月から算定します(注11)(注12)。前年度の実績に基づく4月の年度更新には、別の届出の取扱いがあります(注13)。職員の数が基準の最低限(10:1)を下回ると、人員欠如として報酬が減算され、減算が始まる時期は不足の割合や解消の時期によって異なります(注14)。

開業前に確かめておきたいこと

  • 最初の6か月の配置(定員の90%で計算)の人件費を、資金計画で持てるか
  • 利用者が増えていったとき、どの時点で選んだ報酬区分の条件に届かなくなるか
  • 開業月によって、通常の数え方に移る時期が違うことを把握したか
  • 「直近」の期間の計算と常勤換算の端数の扱いを、指定権者(横浜市なら障害施設サービス課)に確かめたか
  • 配置が区分の条件を下回りそうなとき、増員するか区分を変えるかの方針と、届出の時期を決めたか

配置の見通しまで計画に入れておけば、利用者の集まり方が計画とずれても、慌てずに判断しやすくなると思います。

就労継続支援B型の開設を検討している方へ

開業から1〜2年の職員配置の見通しと、それに合わせた人件費や届出の時期を、一緒に整理します。

出典

  1. 指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第186条第1項第1号イ〜ハ、同項第2号、同条第2項・第4項(第199条で就労継続支援B型に準用)
  2. 厚生労働省「…費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(障発第1031001号。以下「留意事項通知」)令和8年度改正の新旧対照表 第二の3の(5)の②の㈠のア、p.287〜288
  3. 厚生労働省「…指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号。以下「解釈通知」)新旧対照表 第二の2の(5)の①②、p.16〜18
  4. 留意事項通知 第二の1の(5)の①②、新旧対照表 p.12〜13
  5. 仙台市「『平均利用者数』の算定方法(考え方)について(障害福祉サービス・障害者支援施設)」別添資料、和歌山市「平均利用者数の算定について」(2016年2月29日更新)、松山市「平均利用者数の算定(考え方)について」
  6. 横浜市「令和8年度集団指導 障害者支援施設(入所施設)・障害福祉サービス事業所(通所施設)」(2026年7月15日掲載)p.12〜13
  7. 解釈通知 第二の2の(2)(1人につき算入できる時間数は常勤の従業者が勤務すべき時間数が上限)、新旧対照表 p.14。横浜市の資料(注6)p.13は、超過勤務時間は含まないとする
  8. 横浜市「令和8年度障害福祉サービス事業所運営指導 事前提出・当日準備資料」のうち「セルフチェックシート(人員編)」の勤務表(2026年9月16日掲載)
  9. 栃木県「人員配置に係る用語の定義」、豊橋市「常勤換算方法及び勤務形態一覧表について」
  10. 留意事項通知 第一の5、新旧対照表 p.7
  11. 横浜市「令和8年度集団指導共通資料」(2026年7月14日掲載)p.9、横浜市「体制届に関する情報提供」
  12. 留意事項通知 第一の1の(4)、新旧対照表 p.5
  13. 留意事項通知 第一の1の(5)、新旧対照表 p.5〜6
  14. 留意事項通知 第二の1の(8)の④(人員欠如減算の具体的取扱い)、新旧対照表 p.21〜23

更新日:2026年10月24日 執筆:行政書士 大塚栄一