一度書いた遺言を、書き直したくなるのはどんな時か

遺言は一度書いたら、もう変えられない。そう思って、書き始めるのをためらっている方もいるかもしれません。

実際には、自分の意思で決められる間は、何度でも書き直せます。

この記事のポイント

  • 遺言はいつでも、全部または一部を撤回できる(民法1022条)
  • 法務局に預けていても、新しい遺言を預け直せばよい
  • 一部だけ直すより、全体を書き直す方が家族には分かりやすい

見直したくなるのは、暮らしが変わったとき

配偶者が先に亡くなった。自宅を売った。財産の額が大きく変わった。孫が生まれた。疎遠だった家族とまた付き合うようになった。

こうした変化のたびに、「今書くなら、前と同じ内容にはならない」と感じるはずです。

だから、最初の一通に、将来の変化まで全部盛り込む必要はありません。今決められることを、今のうちに形にすれば十分です。

法務局に預けている場合の手続き

自筆証書遺言を法務局に預けている場合は、次のようになります。

  1. 新しい遺言を書く
  2. あらためて保管を申請する(1通3,900円)
  3. 前の遺言は、保管の申請を撤回すれば返してもらえる

注意したいのは、保管の申請を撤回することと、遺言を撤回することは別だという点です。預けるのをやめても、それだけでは遺言の効力はなくなりません。

公正証書遺言も、新しい遺言を作れば書き直せます。自筆から公正証書へ、方式を変えて書き直すこともできます。

一部だけより、全体を書き直す

法律上は、新しい遺言と食い違う部分だけが、新しい内容に置き換わります(民法1023条1項)。

ただ、どこが新しく、どこが古いままなのかを読み解くのは、残された家族です。

一部だけを直すより、全体を書き直した方が、家族が内容を確かめる負担は小さくなります。

最初の一通に100点は要らない

状況が変わったら、そのとき書き直せばよい。それくらいの気持ちで十分です。

「この出来事があったら見直そう」。そんな目安を、家族で一度話してみるのもよいかもしれません。

遺言の作成・見直しについて

今の遺言が、今の家族と財産に合っているか。見直しのご相談も承ります。

更新日:2026年10月15日 執筆:行政書士 大塚栄一