遺言で法的な効力を持つのは、財産の分け方など、法律で定められた事項だけです。
ところが多くの遺言には、効力のない一言が添えられています。「付言事項」と呼ばれる部分です。
この記事のポイント
- 付言事項に法的な効力はない。書くかどうかは自由
- 法務局の文例集は、紛争を防ぐ役割を挙げている
- 書き方しだいで、感謝にも、不満にも読める
法務局の文例集にもある
法務局が示している自筆証書遺言の文例集にも、付言事項の例が載っています。
家族への感謝。特定の相続人に多く残す理由。家族の幸せを願う言葉。
文例集は、付言事項を「遺産分配についての紛争を予防する役割」を果たすものと位置づけています。
「決める」ことと「分かってもらう」こと
法律が決めてくれるのは、誰が何を受け取るかまでです。
「なぜそう決めたのか」「どう受け止めてほしいか」は、法律の範囲の外にあります。
効力のない一言を書き添えるのは、「決める」ことと「分かってもらう」ことを、別の作業だと考えているからでしょう。
書き方で、伝わり方は変わる
自由に書ける分、受け取られ方も幅があります。
感謝の言葉として読まれることもあれば、特定の家族への不満や比較のように読まれてしまうこともあります。
「何を書くか」だけでなく、「誰が、どう読むか」まで考えておくことが大切です。
何を伝えたいかを考える時間も、準備の一つ
今すぐ言葉を決める必要はありません。
家族の誰に、何を伝えたいのか。それを考える時間も、遺言を書く準備の一つです。
更新日:2026年10月15日 執筆:行政書士 大塚栄一

