訪問系サービス(居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護)の運営指導では、サービス提供責任者の人員基準に関する指摘が繰り返し見られます。愛知県・大津市・長野県の資料を見ると、その背景には共通した勤務管理上の見落としがあります。
最初に確認したいポイント
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 移動支援の区分 | 移動支援(市町村事業)の勤務時間を、居宅介護等の勤務表と分けて管理しているか |
| 必要人数の算定 | サービス提供責任者の必要人数を、月間延べサービス提供時間・従業者数・利用者数のいずれかの基準で正しく計算しているか |
| 常勤専従の実態 | サービス提供責任者の1人以上が、名目だけでなく実態として常勤・専従になっているか |
| 緩和規定の適用条件 | 利用者50人ごとに1人でよい特例を使う場合、サビ提本人の直接支援時間が月30時間以内であることを確認しているか |
実務ポイント:見落としやすい2つの盲点
訪問系サービスの人員基準について、見落とされやすいポイントを2つ整理しました。
| 盲点 | 実務内容 |
|---|---|
| 盲点1:移動支援の時間が人員基準の計算を狂わせる | 移動支援は市町村が実施する別事業。愛知県・大津市の資料では、この時間を居宅介護等の勤務表・人員基準の計算に含めないよう明記されている。含めると、サービス提供責任者の必要人数の計算と、請求の重複という二重のリスクが生じる。 |
| 盲点2:「常勤専従」は実態で判断され、緩和規定にも条件がある | サービス提供責任者は原則常勤・専従で、施設系の職務との兼務は不可。利用者50人ごとに1人でよい特例を使うには、サビ提本人の直接支援時間(待機・移動時間を除く)が月30時間以内という条件がある。 |
盲点1の詳細:移動支援の時間は「別の事業」として切り離す
移動支援は障害者総合支援法上の「地域生活支援事業」であり、居宅介護等(介護給付)とは制度上別の事業です。同じヘルパーが両方を担当していても、勤務表・人員基準の計算は事業ごとに分ける必要があります。
愛知県・大津市ともに、この移動支援の時間を居宅介護等の勤務表・人員基準の計算から除くよう、同趣旨の指摘をしています。
サービス提供責任者の配置基準は、月間延べサービス提供時間450時間ごと・従業者数10人ごと・利用者数40人ごとのいずれかで1人以上(特例では利用者50人ごとに1人)とされています。この「月間延べサービス提供時間」に移動支援の時間が紛れ込むと、必要人数の計算そのものが変わります。勤務表は、居宅介護等と移動支援を分けて作成してください。
盲点2の詳細:「常勤専従」の実態と緩和規定の条件
サービス提供責任者は「常勤・専従」であることが原則です。長野県の資料は「専ら指定居宅介護の職務に従事するもののうち1人以上の者」とあるように、施設系の従業者等との兼務はできないと解説しています。愛知県の資料にも「サービス提供責任者の1人以上は常勤専従のものとすること」という指摘があり、名目上は常勤でも勤務実態が伴っていない配置が見受けられます。
一方、利用者50人ごとに1人でよいとする特例を使うには、サービス提供責任者本人が「サービス提供責任者の業務に主として従事する者」に該当している必要があります。これは、本人が居宅介護従業者として行った直接支援時間(待機時間・移動時間を除く)が、1月あたり30時間以内であることを指します。人手不足でサビ提自身が現場に多く入っている事業所ほど、この条件を満たさなくなり、必要人数の計算が変わっている可能性があります。
実務チェックリスト
次の項目を確認してください。
-
勤務表の区分
移動支援(市町村事業)の勤務時間を、居宅介護等の勤務表と分けて集計しているか -
請求の重複確認
通院介助等のサービス提供記録と移動支援の記録を照合し、同一時間帯での請求の重複がないか -
必要人数の再計算
サービス提供責任者の必要人数を、450時間・10人・40人の3基準それぞれで計算し直しているか -
常勤専従の実態確認
サービス提供責任者のうち1人以上が、施設系の職務等と兼務せず、実態として常勤・専従になっているか -
緩和規定の適用条件
利用者50人特例を使っている場合、サービス提供責任者本人の直接支援時間が月30時間を超えていないか
まとめ
訪問系サービスにおける人員基準の指摘は、制度への無理解というより、複数の事業を同じ管理帳票で一本化してしまう勤務管理上の癖から生まれているケースが目立ちます。
まずは勤務体制一覧表を開き、移動支援の時間が居宅介護等の勤務時間と混在していないか確認してみましょう。
本記事は、愛知県「主な指導改善指示事項一覧【サービス別】」、大津市「令和7年度指定障害福祉サービス事業者等集団指導」、長野県「実地指導等における主な指導事項及び解説」など、複数自治体の運営指導資料で共通して確認できた内容をもとに構成しています。
サービス提供責任者の配置基準、正しく計算できていますか?
移動支援を併設している事業所の勤務表の整理や、人員基準の再計算についてのご相談を承っています。

