障害福祉サービスは、細かく数えると20を超えます。種類を覚えるより先に、どの場面で誰を支えるサービスなのかで分けて見ると、全体がつかみやすくなります。
自宅に訪問するのか、日中に通う場所を用意するのか、住まいを用意するのか、働く場を用意するのか。系統によって、必要な職員、物件、報酬の決まり方が変わります。種類を一覧で整理し、どの系統で始めるかを考える材料をまとめます。
この記事の要点
- 障害福祉サービスは、法律上「介護給付」と「訓練等給付」に分かれ、子ども向けの障害児通所支援は児童福祉法のサービス
- 系統で見ると、訪問系・日中活動系・施設系・訓練系・就労系・居住支援系に分けられる
- 系統によって、事業の中心になる資源が違う。訪問系はヘルパー、日中活動系は看護職員を含む手厚い体制、居住支援系は住まい、就労系は仕事
- どの系統で始めるかは、手元にある人・物件・仕事と、地域の需要から考える
障害福祉サービスの種類一覧
障害者総合支援法の障害福祉サービスは、介護が必要な人への「介護給付」と、訓練や就労、地域での暮らしを支える「訓練等給付」に分かれます。どちらも、利用する人が市町村から支給決定を受け、事業者は都道府県や市の指定を受けてサービスを提供します。(注1)
| 系統 | 主なサービス | どんな支援か |
|---|---|---|
| 訪問系 | 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援 | 自宅での介護や家事、外出時の移動の支援 |
| 日中活動系 | 生活介護、療養介護 | 日中の介護と、創作的活動・生産活動の機会。療養介護は病院で行う |
| 施設系 | 施設入所支援、短期入所 | 施設での夜間の介護。短期入所は家族の事情などで短い期間泊まる |
| 訓練系 | 自立訓練(機能訓練・生活訓練) | 自立した生活のためのリハビリや生活の訓練 |
| 就労系 | 就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労定着支援 | 働き方を選ぶ支援、就職のための訓練、働く場の提供、就職後の定着の支援 |
| 居住支援系 | 共同生活援助(グループホーム)、自立生活援助、宿泊型自立訓練 | 地域での住まいと暮らしの支援 |
| 障害児通所支援 | 児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援、居宅訪問型児童発達支援 | 子どもの発達の支援(児童福祉法) |
(注2)
このほか、サービスの利用計画をつくる相談支援もあります。1人の利用者が、たとえば夜はグループホームで暮らし、日中はB型に通うというように、いくつかのサービスを組み合わせて使うことも多くあります。
系統によって、事業の中心になるものが違う
| 系統 | 主な職員 | 物件 | 事業の中心になるもの |
|---|---|---|---|
| 訪問系(居宅介護など) | ヘルパー(常勤換算2.5人以上)、サービス提供責任者 | 事務所 | ヘルパーの確保と、利用者・相談支援とのつながり |
| 日中活動系(生活介護) | 看護職員、生活支援員など(平均障害支援区分に応じて3:1〜6:1)、サービス管理責任者、医師 | 訓練・作業室などを備えた通所の事業所 | 支援の必要度の高い人を受け入れる体制 |
| 就労系(A型・B型など) | 職業指導員・生活支援員(10:1以上)、サービス管理責任者 | 訓練・作業室などを備えた通所の事業所 | 利用者が取り組む仕事と、その売上。就労移行支援は就職先 |
| 居住支援系(グループホーム) | 世話人(6:1以上)、生活支援員(障害支援区分に応じて)、サービス管理責任者 | 住宅地にある住居(定員は原則2〜10人) | 住まいの確保と、夜間を含む暮らしの支援 |
(注3)
職員の数は最低の基準です。訪問系は大きな物件がいらない一方で、ヘルパーが集まらなければ利用の申し込みに応えられません。日中活動系の生活介護は、看護職員を置き、支援の必要度に応じて職員を手厚く配置します。居住支援系は、物件が建築基準法や消防法、自治体の基準に合うかが最初の関門になります。
就労系の3つのサービスの違いは、A型とB型の違い、就労移行支援との違いで詳しく比べています。
どの系統で始めるかは、手元にある資源から考える
「どのサービスが儲かるか」から選ぶと、準備の途中で人や物件が足りないことに気づくことがあります。手元にあるものから考えると、候補が絞れます。
- 介護の経験があるヘルパーや職員が身近にいる:訪問系、日中活動系
- 看護職員や、支援の必要度の高い人を支えてきた職員を確保できる:生活介護
- 住まいに使える物件の当てがある:グループホーム(基準に合うかは契約前に確認)
- 利用者が取り組める仕事や取引先がある:就労継続支援A型・B型
- 企業とのつながりや、就職支援の経験がある:就労移行支援
- 子どもの発達支援の経験がある職員がいる:児童発達支援、放課後等デイサービス
どの系統でも、開業する地域にそのサービスを必要とする人がいるかを確かめることが出発点です。
2026年の制度の動きも確かめる
2026年6月1日以降に新しく指定を受けた就労継続支援B型、グループホーム(介護サービス包括型・日中サービス支援型)、児童発達支援、放課後等デイサービスは、令和9年度の報酬改定まで、原則として基本報酬が既存の事業所より低く設定されています。グループホームは2027年4月から総量規制の対象に加わります。実際に規制するかどうかは自治体が決めます。(注4)
詳しくは、新規開業だと報酬が下がるのかと「総量規制で開業できなくなる」は本当かで確かめています。
開業前の確認リスト
- どの系統のサービスで、誰を支えるか
- その系統で中心になる職員(ヘルパー、看護職員、世話人など)を確保できるか
- 物件が必要なら、サービスの基準・建築基準法・消防法に合うか
- 開業する地域で、そのサービスの需要と総量規制の有無を確かめたか
- 新規指定の報酬の扱いを、収支の計画に入れたか
注と出典
- 障害者総合支援法(e-Gov法令検索) 第5条・第28条、厚生労働省「障害福祉サービスについて」
- 系統の分け方は、サービスの内容に沿って当事務所で整理した。就労選択支援は2025年10月から。障害児通所支援は児童福祉法(e-Gov法令検索) 第6条の2の2
- 指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令検索) 第5条(居宅介護)・第78条(生活介護)・第186条・第199条(A型・B型)・第208条・第210条(グループホーム、介護サービス包括型)
- 令和8年度報酬改定における改定事項(PDF)、障害者総合支援法施行規則の一部を改正する命令(令和8年内閣府・厚生労働省令第2号)
更新日:2026年10月19日 執筆:行政書士 大塚栄一

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